今年のベストタブレットiPad Pro

iPad Proは発表の時には、それほど触手が伸びませんでした。でも、とある講演会の後の酒の席で、仲良くして頂いている同業の方から、「次はiPad Proを使って講演ですね」と、こちらの気持ちを見透かすような背中の押し方をされ、急に興味が湧き(←オイッ)、その後にキーノートやスペックを見直して、使い方を考え、発売と同時にポチっていました。

ほぼ期待していた通りの作り込みで、iOSで出来ることを現時点において最高に突き詰めたらこうなったと実感出来るiPad Pro。今年購入して一番良かったと思われる機種かなと思っています。

ネットでの評判はあまり良く無いようです。林檎の総帥のコメントを受けてからかもしれませんが、あえてPCやMacbookなどとの比較記事を見かけます。たまに面白い視点の比較もあるなぁと思うのですが、大抵は、iOSで出来ないことをあげてるだけと感じることも多く、何となくiPad Proは不憫な感じもありますし、総帥も軽率だったかなと感じます(笑)

もっとも、iOSは随分成熟度が増していますし、オフィスやAdobeを初めとしたPC関連ソフトの対応充実度には目を見張るモノがあります。実際、手持ちのiPad Airとは比べものにならないほどPC likeな使い方も出来てしまうのも事実であり、ソフトによってはPCよりも使い勝手が良い場合もあり、比較したい、ネタにしたい気持ちも分かるかなとも。

個人的には、PC的使い方は購入時には全く考えておらず、1) もっと快適に資料閲覧や読書をしたい、2) 紙のノートの置き換えをしたい、3) デュアルディスプレイとして使いたい、4) バッテリーがへたってきたMacbook Proの補助として使いたい、という希望がありました。実際どうだったかと言いますと、、、

  • 論文や雑誌がとても読みやすくなった

これだけでも十分なのかもしれません。仕事柄、論文のPDFを読むことがとても多いですし、最近の海外の学会誌や商業誌は電子媒体で配信されますので、その読みやすさの向上は、仕事の効率を考えると大変大きいです。

また、PDFはとても見やすいだけではなく、本体がパワフルであるため表示の遅延、もたつきもほとんど感じません。M2Plusさんのシリーズも随分見やすくて、本を読んでいる感じにとても近づいていると思います。記憶に残りやすくなったと言っても良いのかもしれません。

  • 学会場や会議におけるメモ取りが変わった

Apple pencileの出来の良さが半端ないので、紙に書いている感覚に近いタッチでメモ取りが出来ます。また、メモを取りたいときにすぐに立ち上がること、大きな画面のお陰で書きたいことが十分に書けることの恩恵が大きくて、座ってメモをする時には、iPad Proが主役になってしまいました。

これまではモレスキンでメモを取り、気になった箇所はiPhoneで撮影してEvernoteに送り込むという作業をしていたのですが、Evernoteに送ることを忘れていると、必要な時に必要なメモを取り出せないことがしばしばありました。でもEvernoteに直接書き込めば、そんな問題は簡単に解決です。

もちろん、気に入ったペンで質感の良いモレスキンに書き込む感触は無いですし、紙とペンを超えていない部分も多々有ります。ただ、記録した情報をすぐに取り出すという点はデジタルに紙はかないません。少なくとも、これまで自分の持っていたiOSやアンドロイド端末の書き味とは一線を画しており、Surface Pro3と比較しても、iOSの持つ立ち上がりの早さがノートという記録媒体としての使い勝手を向上させていると感じます。

その他、Split Viewで資料を閲覧しながら、Evernoteに手書きメモという体験も中々快適なレベルですし、記録中にアプリが落ちるという経験もありませんし、かなり信頼を置いてメモ取りが出来ます。

最近は、週に2〜3日程度は出張があり、多くは日帰りなのですが、宿泊時はもちろん、少し腰を落ち着けて外出先で仕事をする際には、自宅や職場と同じように広い画面で作業をしたくなります。これまでもiPad Airを使ったりしたことはありましたが、やや制限を感じながら作業するという感は否めませんでした。

iPad ProとDuetのコンビは、完璧とは言えませんが、ほぼタイムラグなくデュアルディスプレイの作業が可能で、13 inchのMacBook Proと同等の画面サイズであることも相まってかなり快適に作業をすることが可能になっています。

  • パワポでプレゼンしても落ちない

過去にiPad Airでプレゼンした際に、途中で落ちたことがあったので、それ以来iPadでプレゼンはしなかったのですが、iPad Proはかなり重い動画の入ったパワーポイントファイルであっても楽々とプレゼンすることが可能でした。

講演会場で電源確保の難しい状況であっても、外部バッテリーで楽々充電が出来ますし、先に触れたように、出番では無い時には、他の発表のメモ取りも高いレベルで可能です。メールの処理も外付けキーボードがあれば、簡単に可能です。さらに、まだ十分に使いこなせてはいないのですが、林檎鉛筆を使ったプレゼンも出来るようですし、来年も、しばらくはプレゼンの場所では主役になりそうな予感です。

  • その他

Macbook Proのバッテリーをあまり気にしなくとも良くなったこと、エンタメマシンとしてハイレベルでありホテルライフが楽しくなったこと、遅ればせながら購入したSmart Keyboardも良く考えられているなど、思った以上に重宝し、これまでに無かった体験をさせてくれている機種であると思います。

  • 結局

その人がPCで行う作業に対して、どの程度のレベルを求めているかによりますが、現状でもPC的な使い方はある程度以上のレベルで出来ると思いますし、今後の色々なソフトの仕上がり次第では、さらにPCに近づくと思います。もっとも、PC自体もタブレットからクラムシェルへと回帰しているように、使い勝手の良さはOS、パフォーマンスレベル、ソフトだけでは決まらないと素人的にも思います。思い切りタブレットであるiPad Proを、いくらSmart Keyboardがあるとは言え、PC的な使い方ばかりしていてはせっかくのiPad Proの良さが見えなくなってしまうかなと個人的には感じるので、昔のPDAのように無理にPC的な役割を持たせず、iPad Proの恩恵を十分に感ずることが出来るよう自分なりの使い方をさらに見つけながら、引き続き楽しんでいきたいと思っております。